研究概要 |
血管病変が血管分岐など動脈の局所荷発生すること,および流体輸送機器の重要な配管要素の一つである分岐管の接合部に腐食・壊蝕が頻発する.このような病変の発生,および配管の腐食・壊蝕に流体力学的因子が関与することは明らかである.とくに管壁面に作用する壁せん断応力の分布を解明するには,まずその測定法の確立が要求される.本課題では,これまで速度分布などから間接的にしか測定できなかった液体流の壁せん断応力測定を,電解液を用いた電気化学的な唯一の直接測定法で確立およびセンサの開発を試みる. (1)本年度は,その定常特性および周波数特性を,流体機器の基本要素である直角分岐管および動脈瘤の好発部位である脳前交通動脈をモデル化した流路を用い,壁せん断応力分布と測定法を検討した.また,周波数特性を検討するためスコッチヨ-ク型の低振動流発生装置を作製した. (2)腐食,壊蝕の好発部である直角分岐管の枝管入り口コーナ回りの壁せん断応力を測定した.流れの特異点である上流入り口コーナで壁せん断応力の急変が見られ,かつこのコーナ回りの壁せん断応力は流れ分岐割点である下流コーナ近傍の値に匹敵する.脳動脈瘤の好発部位である前交通動脈の流れ分割点では,壁せん断応力の勾配が極めて大きくなる. (3)壁面せん断応力センサである白金の端面の面積依存性を検討した結果,埋め込みの可能性という観点から線径0.5mmが適することを,さらに周波数特性を検討した結果,無次元振動数が10以下であれば,本測定法は十分な追従性を示した.高分子溶剤で電極を埋め込み後には接着溶剤の収縮による残留応力の除去をアニーリングなどの方法により確立している.
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