研究概要 |
本研究の目的は接触熱抵抗が存在する従来の方法での超微細ピンフィンを用いた空気冷却技術を限界まで高めることと,マイクロチャネルを用いた接触熱抵抗の介在しない次世代冷却方法の確立である.そこで先ず極微細ピンフィンを用いた圧力損失・熱伝達計測を行い放熱特性を調べた.またマイクロチャネルについては,微細直円管群テストコアを用いて希薄流体の内部流における熱伝達および圧力損失評価行い,希薄流体域での放熱・流動特性を調べた.以下に結果について説明する. ピンフィン放熱器の実験では,ステンレスシートをエッチング技術で加工した正方形断面(一辺長さ50〜200μm)コアの放熱性能評価を改良シングルブロ-法を用いて行った.ピン配列パターンを変化させた実験を行い,ある幾何学的配置(幅方向・流れ方向ピッチ)条件では振動的な流れが形成され熱伝達が上昇することや配列を複合させることで伝熱特性を上昇させる可能性が示された.また,シングルブロ-法を希薄流体域に適用するために予備計算を行った結果、微細伝熱面での高い熱伝達率のために十分な精度で熱伝達計測を行うことがジングルブロ-法では困難であることが判明した. マイクロチャネルの実験では微細直円管(内径4〜135μm)を多数組み合わせたテストコアの圧力損失・熱伝達実験を行った.圧力損失実験はすべり流れおよび遷移領域で行い,結果は従来の経験式と概ね良好な一致を示し、本計測システムの健全性を確認できた.熱伝達実験ではキャピラリープレート(内径4μ)テストコアを外周部から銅ブロックを介し加熱し等温加熱条件とし、定常状態でのコア外周部温度,入口・出口空気温度を計測した.コア外周部温度計測にはスパッタリングで形成させた鉄・ニッケル薄膜熱電対を用いた.これら計測情報と2次元熱伝導数値解析を用い,熱伝達率算出を試みた.しかし,微細伝熱面での熱伝達率は一般に非常に高く,本実験で得られた出口空気温度,コア外周部温度に対し熱伝達率は非常に鈍感であり計測精度不足が明らかとなった.改善策として,コア外周部を等熱流束加熱することで精度向上が見込まれることが確認された.
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