研究概要 |
本年度は,前年度にて得られたスラリー状氷製造上の基礎データをもとに,スラリー状氷の管内輸送に伴う流動、物質そして熱特性の実験的検討を行った。 氷潜熱輸送円管の寸法と氷充填率の測定法そして断熱性の検討: スラリー状氷の管内流動抵抗の測定に関しては、圧力損失及び氷充填率を考慮して円管直径を15-30mm,管長さを2-3mの範囲に関して行った。管内流速が0.5m/s以下の低流速の場合は、浮力により微細な氷片が管頂部摺動しながら流れ圧力損失の大きな状態となる。さらに流速を増大する管頂部の氷片の管中央への分散が起こり圧力損失の極小領域が現れるようになる。この極小の圧力損失を示す限界流速は氷充填率の増大とともに高速側へ移行し、その極小圧力損失の絶対値も大きくなる傾向になる。流速が2m/s以上の領域では、氷片が管内に均一に分散した均一流れとなるが、氷充填率が20%を越えると管内中央に円柱状の氷スラリーが形成され、管壁近傍に水膜層が形成される、いわゆる二層流れとなり流動抵抗の現象となる興味有る現象が認められた。尚、流動している氷スラリーの氷充填率は、水蒸気の凝縮熱で氷片の融解による方法の検討を行ったが、測定誤差が約12%程度あったので、新しく本研究で開発したリング状電極による電気抵抗法により行い、測定誤差約5%で広範囲にわた氷充填率の測定が可能となり、その水温や不純物含有に対する本測定器の校正法の開発も合わせて行った。配管からの熱損失は、断熱材厚さを変更して断熱材表面が露点以下となる断熱材厚さでは、その空気中の水蒸気凝縮熱伝達率の大きさ分だけ、熱損失が大きくなることが判明した。また、氷の充填率による熱損失の変化はほとんどないことも判明した。
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