研究概要 |
本年度は,前年度までに行ったスラリー状氷の生成に関する研究の詳細な検討を行うとともに,スラリー状氷の流動特性に関して,輸送管の角度を変化させた場合についてさらに実験的検討を進め、管内の流動挙動を把握し,流動抵抗と輸送される冷熱量に関して有用な実験整理式の提案を行い,本研究にて提案した氷生成および輸送システムに関する総括を行った. 種々の輸送管角度におけるスラリー状氷の管内流動実験では,実際の氷蓄冷システムの配管径および輸送冷熱量を考慮し,管内径40mmの透明アクリル管を用い,氷充填率(IPF)5〜25%,輸送管角度0°(水平)〜90°(垂直)の条件下にて実験を行った.垂直管の場合のスラリー状氷の流動挙動は,前年度に報告した水平管の場合と同様に管内流速の大きさにより異なり,流速が大きな場合(2m/s以上)には,氷片が管内にほぼ均一に分布する均質流れとなること,およびIPF20%以上の場合には,管中央部は高氷粒子密度の氷水スラリー,管壁近傍は薄い水の層となり流動抵抗が減少することが明らかになった.一方,低速流では氷の塊(クラスター)が形成される塊状流れとなり,壁面とクラスターが接触するため圧力損失は水の場合と比較し増大する.また,高速流の場合,輸送管角度を変化させても挙動に大きな差異は認められないが,低速流では輸送管角度を水平に近づけていくと,浮力のため氷クラスターは管上部壁面と摺動しながら流動するようになり,その効果は角度により異なることが判明した. 以上のように,スラリー状氷の輸送については,各現象に分類し必要ポンプ動力と輸送熱量に関して実験整理式を示し,合わせて過冷却水溶液によるスラリー状氷の生成効率について整理して,本研究にて提案したスラリー状氷生成・輸送システムの有効性について明らかにした.
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