研究概要 |
本研究は,身体に装着した加速度センサの情報のみを使用して人間の行動識別と歩行形態判別を行い,判別結果をホルター心電計に書き込むことが可能な携帯型センサシステムを開発することを目的とする.本研究の特徴は,予め種々の動作時の加速度波形をクラスタリング分析によって分類し,測定された波形と比較することによって行動形態を識別する.このような処理を行うことによって,分類された行動形態に応じて消費エネルギを算出することが可能となる. 平成8年度では,以下のことを行った. 1.歩行形態判別を実時間で行うアルゴリズムを組み込んだ,携帯型歩行判別システムを試作した.本システムは,CPU,A/Dコンバータ,メモリカード,アンプによって構成され,アルカリ単4乾電池1本で動作する.大きさは,57mm×100mm×18mmであり,日常生活には支障をきたさないと考える. 2.健常人に上記の装置を装着し,平地歩行,階段昇降動作を行った時の腰部の加速度波形を計測して歩行形態判別を行った.同時に,被験者の心電図を測定し,歩行形態判別結果と心電図波形をホルター心電計に記録する実験を行った. 3.ホルター心電計に記録された歩行形態と,心電図波形から得られる心拍数,STレベル変化との関係を把握することが可能であることを確認した. 以上のような結果から,本研究で開発した計測システムは無拘束で歩行判別と心電図との関係を把握することが可能であり,心臓病などの定量的な診断に有効であると考えられる. 今後は,計測システムの高性能化と,実際の患者を対象とした実験を行う必要がある.
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