研究概要 |
ERダンパの減衰力特性は電極間の流れモード(圧力流れかせん断流れ)とER流体のER特性とに主に依存する.これらの両者の流れモードをもつ電極構成におけるERダンパの減衰力発生の基本特性を把握するため,両流れモードにおける定常流れ時および往復振動流時それぞれの定常的並びに動的なER特性を実験的に明らかにした. 定常的なER特性については,固定された電極間を流れる圧力流れモードでは印加電圧がDCかACかによって大きく異なり,ACではさらにその周波数に大きく依存することが判明した.一方,電極が相対運動をするせん断流れモードではこれらの印加電圧の形態の違いに大きく影響されず,DC,ACともほぼ同等なER特性を呈する. ER流体の圧力流れモードでの動的粘弾性の測定は,平行平板電極間に往復振動流を与える装置を考案し電極流路間の圧力差を計測することによって行った.その際,流体慣性に対応する圧力差成分を差し引くことによって動的粘弾性特性を評価できるよう工夫をしている.また,せん断流れモードの動的粘弾性は,回転振動の与えられる回転円筒型粘度計を用いて測定している.いずれの流れモードとも流体ひずみ振幅と電場強度に対する依存性が顕著で,流体ひずみ振幅が小さくなるほど弾性的な特性が顕著になることや電場強度が増大するにつれてより大きな流体ひずみ振幅まで弾性的な特性が維持されることなどを明らかにした. 以上の結果に基づいて,両端にメタルベローズと受圧板からなる伸縮する二つの液室をもち,その間に円筒形状の固定電極群からなるERバルブを配置して両液室を連結した完全密閉形の構造をもつ拮抗形のERダンパを開発している.
|