研究概要 |
3次元角運動における角運動成分を分離定量する研究目的において,本年度は加速度計を4個用いた角運動センサによる2軸角運動の実験と,加速度計6個1組の角加速度センサによる3軸角運動の実験を行った. (1)2軸角運動実験 1モータで斜旋回軸を駆動し,ジャイロ機構をもつテーブルを振らせる2軸角運動実験装置を開発した.ゴム被服ローラをかますことで機械ノイズを低減することができた.センサにはモノリシックIC加速度計を4個用いて2軸角加速度を得た.また,静電容量形3軸加速度計を2個用いて角加速度を得る実験も行った.両センサを比較すると,後者の静電容量形のものがはるかに良質の角加速度を計測し,手振りインタフェースに利用できることが分かった. (2)3軸角運動実験 ところが上記静電容量形のセンサは3軸に拡張すると,構造的な干渉により3軸任意の角運動が計測できないことが分かり,再びモノリシックIC形センサを用いることとした.この場合問題点が2つ生じた.1つはノイズであるが,精度を勘案したロ-パスフィルタとハイパスフィルタを製作することにより解決した.2つ目はコリオリ力による他軸からの注目軸への現象論的な干渉である.これは手振りのような比較的ゆっくりした運動では,ほぼ無視できることを実験的に明らかにした. その3軸角加速度センサを用いて,手振り信号をロボットに入力しロボットが手振りに従って動作することを確かめた.ただし,自由に操ることはできず,安全性に対する制約条件は多い.安全性に対する新たな課題が生じたといえる. (3)ニューラル・ネットワークアルゴリズム 各種のニューラル・ネットワークアルゴリズムを構築し、シミュレーションを重ねているところである.定常的なでノイズのない運動では各軸の角加速度を認識できるが,非定常(突発的な信号とノイズレベルが1/3と大きい)運動では各軸の角加速度を分離してくれない.したがって,この場合も精度の高いフィルタを併用しなければならないという中間結果を得た.
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