研究概要 |
3次元角運動における角運動成分を計測するため,本年度は角速度計を3個用いた角運動センサによる3軸角運動の実験と,ニューラル・ネットワークによる角加速度・角速度の分離シミュレーション行った. (1)3軸角速度実験 圧電ジャイロによる3軸角速度センサを構成し,3軸回転実験,手振り振動実験および1回振り実験を行った.3軸回転実験では,3個のジャイロとも干渉なく3軸角速度を忠実にとらえていることが分かった.手振りの回内,回外繰返し振りでも振動数ほぼ1Hz,振幅0°〜90°の範囲で角速度を忠実にとらえていることが分かった.ところが,手の1回振りでは,圧電体の特性からくるサグ(パルス終了時の余計な跳ね返り信号)があることが分かった. そこで,ヒューマンインタフェースの安全性のため,余計な信号とかノイズをカットする方法を検討した.しきい値を2個設け,第1しきい値で信号が立上がる(立下がる)点を見つけ,第2のしきい値で信号の正負を判定し,信号が小さくなった時点で零信号に落とすという方法により,手振り指令を機器制御に用いる場合の安全性を高めた.実際に多軸モータを回転させて有効性を確かめた. (2)角加速度計測値の近似 加速度計による角加速度計測では,3軸角加速度に3軸角速度が重畳するが,どの時点で角速度成分が省略できるかが問題となる.そこで各種シミュレーションを実施し,振動数2Hz以下(手振りなど)では,ほぼ角速度成分をなしとしてよいという結論を得た. (3)ニューラル・ネットワークアルゴリズム BPアルゴリズムにより,3軸角加速度値から3軸角加速度と3軸角速度を良好に分離できる見通しを得た.学習回数は1024点ランダム入力として2000回以上であればよい.
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