研究概要 |
平成7年度では、外科医の意志を、特に疲労が大きい微小作業時における外科医の意志を、支援する外科医主導型のハンド、すなわち「マイクロサージェリーハンド」を構築する。これは、多関節腕・力変換部・手術用具・画像処理部の4つの構成要素から成り、これを握った外科医は手術対象である患者に正対し,顕微鏡で見ながら、患部に切開・切除・骨削りなどの作業を施す。 現在までに明らかになったことは次の通りである。 (1)多関節部は、通常は自由に手動で動かすことができるが、外科医の要求があればその要求位置で関節のすべてが固定されるものである。当初はこれを固定壁と連結するつもりであったが、アームが長くなって剛性が小さくなったので、外科医の腕または肩に連結することにした。 (2)力変換部は多関節部の先に配され、外科医が握る操作棒に働く把持力と、手術用具に実際に働く作業力とを変換するものである。力センサとして、前者には平行平板構造の変形を歪ゲージによって検出するものを、後者には水晶の圧電効果を電荷によって検出するものを用いた。 (3)画像処理部は、多関節腕に付けられた顕微鏡から得られた視覚情報を用いて、手術用具の変位を測定するものである。画像追跡装置を購入して変位の測定を試みているが、実時間の計算は困難であることがわかった。 手術用具としてノミを付けたハンドを用いて、すでに切りだした人間の耳部の骨の掘削を行ったが、システムを完成させ次は中耳の手術に用いる予定である。
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