研究概要 |
本研究は,自励オンオフ駆動制御方式を用いて知能化し,塑性加工を主体として複合微細精密衝撃加工を行う多機能な自動加工機を開発したものである.駆動所要エネルギーを最小に抑える最適駆動条件から構築した最適設計法を用いて,エレクトロニクス部品用の高分子フィルム・シート,金属箔の精密打抜き,微小精密アクチュエータとして期待できるSMA関連の精密プレス・カシメ加工,また高付加価値を有する精密微細部品の製造,特に医療福祉分野で使用される機器部品の内,高分子柔軟材および金属のシート・薄箔・薄膜・極細管などの特殊機能部品の製造もターゲットのひとつである.この加工機と微細精密ハンドリング技術との組合せで自動加工システムの構築が可能となり,微細自動組立システムへの展開が進められる.一般的には,自励オンオフ駆動方式の幅広い応用で,機械システムの高度化に貢献できる.例えば,微細部品の精密圧入・精密カシメ・精密位置調製などの熟練技能も自動化が可能となり,前述の微細精密衝撃加工技術とあいまって,一段と高精度な部品結合技術に高められる.そして精密機器の小型化,さらにはマイクロ化を進めて,高度な精密技術の集積に貢献できる. 本研究の基礎は,代表的非線形機械要素である衝突を含んだ振動に関連している.パンチャやインパクトハンマの運動のように,衝撃を含む繰返し動作は,従来,調和強制を受けているが,衝撃現象に関する多くの因子の微妙な変動のために,条件によっては広い不安定領域を生ずる.これは強制が運動の変動に無関係に変化する強制優先の駆動に起因している.これに着眼して,逆に運動優先の駆動にすることで,運動を絶対的に安定化する.振動学の類似発想は能動防振であり,実用上,駆動力のレベルとオンオフタイミングをコンピュータで制御することで,多様な機能をフレキシブルに選択調製した動作が可能である.また,更なる高度化のために,高精度駆動制御を目指して,適応制御,ニューラルネットや遺伝的アルゴリズムを用いた駆動方法をも検討した.
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