光造形法は、光を照射することによって硬化する光硬化性樹脂を材料に用いて、3次元構造を形成する加工法である。具体的には、所望の3次元物体の2次元スライス形状に沿って、光硬化性樹脂の表面を選択的に硬化させ、硬化させた2次元構造を積層する行程を繰り返すことにより、3次元構造を形成する。筆者らはこれまで、この光造形法の原理を用いて、マイクロマシンなどの微細な3次元構造を形成する手法の開発を行ってきた。まず、1992年にマイクロ光造形法(IHプロセス)を提案し、5μmの加工分解能で3次元微細構造を形成することに成功した。さらに、1996年に内部硬化型マイクロ光造形法(Super-IH process)を開発し、1μm以上の高分解能を実現した。 今回、スーパーIHプロセスを超高速化することにより、可動機構を有するマイクロ部品を作製する手法を開発した。これにより、従来の光造形法では作製不可能な微小な可動機構の作製が可能となった。現在の試作システムの性能を以下にまとめる。 1.1μm以上の高分解能 2.サポート構造なしでマイクロ可動機構の造形が可能 3.高速造形(3〜5分でマイクロギアなどを作製可能) 4.大量生産への適用 5.高い歩留まり 今後、樹脂の硬化特性、ビーム走査方法、露光条件などの改良を行い、さらに安定な造形システムの構築を確立し、各種マイクロマシンへ応用展開してゆきたい。
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