研究概要 |
本研究では一対の汎用ローラーをロボットにより移動させて行うスピニング加工を行い,加工条件について検討した.特に絞り加工に重点を置いて円錐台形状の成形品を加工し,絞りスピニングにおける最適条件に関する実験を行った.ロボットとしては,購入した水平関節型ロボット(三菱電機製インテリジェンスHR-LA3形)を用い,ローラー部をロボットの腕先に取り付け加工を行った.ブランク(素板)の回転動力装置としては,モーターを利用した.ブランク回転速度は本実験では333rpmとした.本年度は,実験の結果,以下の点が明らかになった. 1)前年度に得られた結果をより一般化し,最適加工条件を見い出すとともにロボットの軌跡制御のアルゴリズムを確立するために,素材の基本的な変形特性として,ロールによるブランクの局部圧縮を行い,それによる板厚ひずみと,スピニングによる板厚方向ひずみとの関連を調べた.その結果,ロールの送りピッチ(ブランク1回転当たりのロールの送り量)が小さいときには,局部圧縮ひずみが同一になるようなFではさみスピイニングをすることにより,他の条件が異なっても同一形状の成形品が得られることが分かった. 2)ロールの送りピッチが大きいときには,上記と同様な実験では,所望の形状からはなれることが分かった. 3)スピニング加工の有限要素法による解析を試みた.実際の加工プロセスを解析するのは現段階では困難なので,簡単な状態として,2個のローラーで円板をはさみ塑性変形させながら円板を回転する場合について解析を行った.それにより,局部的な変形形態を明らかにすることが出来た. 4)今後はこれを継続し,ロボットの軌跡制御のアルゴリズムを確立する方向へ進めていきたい.
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