研究概要 |
昨年度までに、校正システムを製作し、その基本性能を確認した。今年度は以下を実施した。 1.機能の追加 (1)超音波モータと摩擦駆動を使った割出システムを組み込むことで、時折観測された比較測定値の0.2″程度のドリフトを除くことができた。(2)基準エンコーダのパルス数以上のパルスを持ったエンコーダも測定出来るように改造した。このことによって、一般にエンコーダと分割器の精度を別々に測定せざるを得なかったのを組み合わせた総合誤差が測定出来るようになった。 2.エンコーダの校正 (1)国内外の最高精度の3つのエンコーダA,B,Cを使い、それぞれ独立に本システムの基準エンコーダを校正した。その結果、エンコーダA,B,Cの精度はそれぞれ±0.2″、±0.6″、±0.2″であった。また、基準エンコーダの精度も±0.3″であった。また、エンコーダCには唯一校正システムを設備しているハイデンハイン社が校正データを添付しており、このデータでは±0.45″となっている。また、±0.1″程度の160次の成分が目立つが、本システムでの校正結果にはない。今後検討が必要である。 3.校正精度 上記校正値AとB,C間の違いは0.1″の2次成分、B、C間の差は0.05″で、Aが大きくずれている原因の一つには、3カ月間の基準エンコーダの経年変化も考えられる。また、基準エンコーダは偏心誤差をキャンセルするよう2つの検出部を持った構造であるが、偏心誤差の消しきれない2次誤差が残ったとも推定される。4.カップリング誤差 中空軸型エンコーダに最近多く使われている板バネカップリングの性能 を調べた。その結果、機械的な偏心誤差をキャンセルしてはいるが、偏心1μm当たり1"の誤差が発生し、一般のフレキシブルカップリングに比べて性能は悪いことを確認した。
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