研究概要 |
本年度の研究実施計画は,高効率の電動・発電機の試作における基礎的な考察とその駆動に適した疑似電流形インバータの試作であった。これらに関して以下のような成果を得た。 (1)電動・発電機に関しては設計に伴う基礎実験を行い,試作に必要な基礎データを得るのが目的であった。10kW,42000rpm,140φ×50mmの電動・発電機が最終目標である。本年度は,予定より研究が進み140φ×60mmの寸法で27000rpm,6kWで目標を上回る97.5%の効率を得ている。これには,導線中を流れる渦電流を防止するためリッツ線を使用したり,風損を減らすためへリウムガスを封入したりしている。このため,銅損が300Wから16Wに減少し,風損も160Wのものが約1/10になった。銅損が損失全体のおよそ3/4であり,もっと細いリッツ線を用い,回転速度を30000rpm以上にすることにより10kW,98%以上の効率は得られるであろう。 (2)電力変換器に使用する疑似電流形インバータはチョッパと電圧形インバータで構成されている。インバータは新しく開発した高効率のCT補償ドライブ法を採用し,99.3%変換率を得ている。また,電流制御チョッパはCT補償ドライブとスイッチングに低損失スイッチングIGBTを用いた16kHz無騒音チョッパを採用することにより,インバータも含めて最高97.5%の変換効率が得られ,目標の97%を上回る結果を得ている。 これらの効率測定には本研究費で購入したデジタルパワーメータが活躍している。使用しているチョッピング周波数は16kHzであり,0.1%の精度で測定する必要があるので購入した測定器は最適である。試作改造を1〜2回行うことにより,目標としていた94%の全変換効率を95%にできることが期待でき,世界最高記録を得られそうである。
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