前年度に製作したカルコゲナイドガラスファイバ(コア/クラッドはAsSSe/AsS、GeAsSeTe/GeAsSe、GeSeTe/GeAsSeTeの3種類)を使用して、赤外分光計測システムおよび赤外光分布計測システムを設計・製作した。 分光計測システムには、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)を使用した。赤外光を光源や分光測定装置から離れた測定場所まで伝送するために、FTIR本体を改造して側面から赤外光を外部に取り出せるようにし、波長収差のない放物面鏡で赤外ファイバに接続した。また、FTIR本体に内蔵されている赤外線検出器では感度が低いことが分かったので、高感度の窒素冷却型HgCdTe検出器を新たに採用し、測定システムに接続した。FTIRと測定部をつなぐ入射ファイバと、測定部と検出器をつなぐ受光ファイバとの間には、アルミニウム製の凹面鏡を置いて両者を効率よく接続した。プロパン・ブタン・アルコールなどの燃料ガスを2本のファイバ間に流すことにより、赤外の特定波長での吸収が増大し、ガス検知などの工業計測に利用できることが示された。また、人間の呼気をファイバ間に吹きかけた結果、炭酸ガスや飲酒によるアルコール分などが検出され、医用・生体計測などへの利用も可能であることが分かった。 赤外画像(赤外線分布)の測定には、波長1〜5μmに感度をもつCCDカメラを利用した。バンドル化した赤外ファイバを接続することにより、加熱物体の温度分布を計測できることが示された。また、このカメラは温度計測用に設計されているため、光学系・検出部・計測ソフトウェアなどを改造し、赤外光の強度分布を直接測定してガス分布などが観察できるようにした。
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