研究概要 |
計測の原理:半導体レーザ(波長812nm,出力4W)を光源とし、大型ポリゴンスキャナを用いて測定領域を垂直スリット光で走査(360Hz)する。測定対象物には表面にマイクロプリズムを形成した反射シートを貼付する。走査光がこのシートに当たった時刻(光再帰時刻)をフォトセルで検出し、対象物の瞬時位置を計測する。再帰時刻の決定には相関法と補間法を用い、測定精度を高めた。 本年度の成果:光再帰時刻の検出精度から、位置の測定精度を測定距離の関数として求めた。再帰光検出器の出力は測定距離の3.2乗に逆比例する事がわかった。またレーザの光出力を0.25Wにしぼり、静止物体(10cm×10cmの反射シートのマ-カ)の位置計測値の標準偏差(測定ノイズ)を求めると、測定距離20mのとき0.2mm、40mのとき1.97mmであった。光出力が0.25Wのとき測定限界距離は40mであった。最大出力(4W)時の測定性能を推定した結果、測定限界距離は約100m、位置測定ノイズは2mmと算定された。 一方本計測システムを近距離の室内計測に適用する可能性について検討した結果、直径2cmのマ-カを使用し、距離7mで測定ノイズは0.042mmであった。身体運動の動作分析に十分な測定精度が得られることがわかった。レーザを最大出力で使用すると直径5mmの小さいマ-カの使用が可能となり、手指の関節の動きや顎の動きの分析に応用できることがわかった。 今後の計画:光検出器として1次元PSD(半導体位置検出素子)を使用し、レーザスキャナ/検出器を2組作成して3次元での測定性能を検討する予定である。
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