研究概要 |
平成7年度は,ラップ接着された円筒殻に対して以下の研究を行った。 [解析手法の確立] ・接着層の離散化のための特別な有限要素を開発した。この要素は三次元弾性理論に立脚し,応力-ひずみ関係式に合理的な近似を導入して得られたもので,その数値解は薄い円筒殻理論によるReisserらの結果と良い一致を示す。 [線形弾性解析]:同種・異種材料の被着体の接着層内の応力分布特性の検討を行い,以下の点が明らかになった。 ・接着層における応力(半径方向応力とせん断応力)の最大値は,荷重載荷側の接着層の端で発生し,被着体の弾性係数が小さい場合,接着層の弾性係数が大きい場合,薄い円筒体の場合,および被着体の厚さが異なる場合に大きくなる。 [線形粘弾性解析]:被着体を弾性体,接着層を4要素モデルの線形粘弾性体と仮定し,接着層内部の応力分布特性の検討を行い,以下の点が明らかになった。 ・応力(半径方向応力とせん断応力)の減衰は,被着体の剛性の大きさに大きく依存し,その程度は被着体の剛性が大きい程小さい。 ・半径方向応力の減衰は,せん断応力のそれより大きい。
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