研究概要 |
平成8年度は,粘弾性・衝撃応答解析を実施し,以下のような結果を得た。 [線形粘弾性問題] (1)初期の時間における接着層の垂直応力とせん断応力の分布は,接着層の弾性的性質が強く現れ,静的弾性問題から確認された特性,すなわち,接着層中央に関して対称,非対称な分布形状を示すが,被着体,接着層の寸法・剛性によらず,時間の経過とともに非対称性は薄れていく。その結果,接着層両端の応力集中は,軽減される。 (2)継ぎ手の被着体を引き離す方向に作用する剥離引張応力は,接着層の長さ方向のせん断応力より大きくなり,せん断応力は引張応力よりも早く減衰する。 (3)応力減衰は,被着体の剛性にも依存し,剛性が大きい程減衰の程度は小さい。 (4)応力減衰に大きな影響を与えるパラメータは剛性を除けば,接着層長さおよび接着層厚さで,前者はその値が大きいほど,後者はその値が小さい程,時間の変化に対する応力の減衰の程度が大きい。 [弾性衝撃問題] (1)接着層両端の応力は,縦波の到達と同時に立ち上がり,強い応力集中が発生する。 (2)応答が立ち上がった後では,薄い円筒体では長い周期で応答が繰り返され,厚い円筒体では短い周期で応答が繰り返される。 (3)動的応答倍率は,被着体の剛性に大きく依存する。 [予備設計における留意点] 接着層の最大剥離引張応力(垂直応力)および最大せん断応力は,以下のようにすれば軽減できる。 (1)同種材料からなるラップ継手接着すること。 (2)柔軟な接着剤と剛性のある被着体を接合させること。
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