本研究は、道路構造物の疲労照査や疲労設計が従来、その疲労強度にのみ重きをおいているために「個々の管理」という点に重点を置いて、道路全体のメンテナンス計画策定に対しても貴重な示唆を与えることができるようにするのが目的である。 自動車荷重に関するデータ収集システムと実働応力計測システムによって健全度の現状をモニターしながら、損傷因子の予測と補強効果を知ることのできる応答解析を基礎として損傷を監視していける新しい「構造物損傷管理システム」を開発する。 そこで、8年度は以下のような研究を実施した。 (1)損傷に影響する因子の抽出とそのスペクトルの解析 応力スペクトルがどのような荷重条件下のものであるかを明確にするとともに載荷荷重の大きさと位置関係から損傷の影響因子スペクトルを求めた。 (2)損傷構造に対する解析シミュレーションシステムの開発 道路舗装の構造・RC構造の橋梁・鋼構造の橋梁とに分けて、損傷因子の分析および補強や補修の効果をシミュレーションできる静的および動的に応答解析できるプログラムを開発した。 以上の研究により、「構造物損傷管理システム」をほぼ完成することができた。
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