研究概要 |
門形ラーメンをモデル化した鋼製L形模型3体の非弾性応答実験を行い,塑性変形の卓越する箇所が異なった3つの崩壊モードを得ることができた.また同時に地震応答解析も実施し,実験結果と総合して,変断面構造のラーメン部材の非弾性地震応答性状に関して,以下のような知見が得られた. 1.変断面構造の柱の耐震性と断面構成について (1)累積塑性ひずみと履歴エネルギー分担という点から,隅角部腹板と柱基部で塑性変形が生じるような崩壊パターンが耐震上有利であり,柱中間断面で塑性変形する場合が,耐震上不都合な崩壊パターンである. (2)上記の崩壊パターンに対応する断面構成に必要な条件は,隅角部腹板と柱構成断面の全塑性条件を用いて簡単に表すことができる. 2.はり部材がせん断崩壊する崩壊パターンと断面構成について 兵庫県南部地震(1995年1月)では,鋼製門形ラーメン橋脚の1層目のはり部材中央の腹板が大きくせん断座屈する崩壊モードが観察された.この問題は研究目的に深く関わるので数値解析を行い,以下のことを確認できた. (1)はり中央腹板のせん断崩壊によるエネルギー吸収は柱基部や隅角部腹板に比べてかなり効率が悪い. (2)これは,隅角部腹板とはり部材のせん断力差が大きく,はり中央腹板の降伏せん断耐力がかなり小さく設定されてしまうことに起因する. 以上の結果から,鋼製の変断面ラーメンの断面構成法を耐震面から検討していく上で必要となる基本的な考え方を示すことができた.
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