研究課題
不連続性岩盤に係わる技術課題を克服するために、本研究では三つの重点項目を挙げ、検討してきた。それぞれ研究課題に対する成果は、既に研究論文として公表しているが、その概要を以下に要約する。1)不連続性岩盤の透水・拡散に関する理論の整備:クラックの幾何学的な特徴は、研究代表者の小田によって導入されたクラックテンソルを使って一般的に表現される。またそのテンソルを使えば、不連続性岩盤と水理・力学的に等価な多孔質媒体(等価連続体手法)が定義でき、透水テンソルや弾性コンプライアンスは現場で実測可能なクラックの計測量で表せることも明らかにされている。本研究は、クラックテンソルに基づく等価連続体手法をさらに拡張し、拡散問題や応力・熱・水の流れの連成問題を実務レベルで解く上で必要な不連続性岩盤の理論を体系化すると共に、併せて数値解析法を整備したものである。2)クラックの調査法とステレオロジーの応用:節理などのクラックの調査は、普通ボーリング孔を使った線上調査と、崖や掘削面を使った面調査に分けられる。したがって、調査結果はいずれも一次元・二次元の情報に限られるが、これらの結果を利用して、いかに三次元での不連続面の幾何情報に結び付けるかが、大きな課題として残されている。本研究では、a)岩盤の透水・拡散のための不連続面の調査法の提案、b)調査結果の再現性や信頼性にかんする統計的検討、c)ステレオロジーによるデータの整理・解析法の提案を行った。3)調査・解析システムの提案:1)、2)の研究を深めると共に、現場技術者にとって使い易い調査・解析システムの構築は、本研究の要である。すなわち、技術の体系化と実用化とが、この研究をささえた2本の柱である。
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