研究概要 |
雨量指標として、時間雨量、連続雨量、実効雨量があるが、土石流法でみられる複数の雨量指標(時間雨量と実効雨量)による有効雨量の検討を行い、以下の成果を得た。 (1)7年度とは別の対象区間で斜面の抵抗力をロジットモデル(斜面要因モデル)により評価した。その結果、今回の対象区間における抵抗力を評価する説明要因として、斜面上部の土地利用、法面保護工、全直高が抽出された。斜面の抵抗力の大きさを示す抵抗ポテンシャルが、7年度の対象区間での平均が3.70,今回対象区間では1.91と脆弱な斜面が集まっている区間であることがわかった。 (2)斜面の抵抗力の大きさを示す抵抗ポテンシャルを3ランクに分けて、個々の斜面に対応する崩壊雨量、非崩壊雨量の判別を行った。土石流法で用いる時間雨量と実効雨量の散布図において崩壊雨量、非崩壊雨量を判別するロジットモデルによる判別線(LM線)をそれぞれのランク別に求め、抵抗ポテンシャルが変化することによるLM線の傾き、切片への影響を調べた。これより強度の高い斜面では、実効雨量の影響が大きいこと、脆弱な斜面では、時間雨量の影響が高いことがわかった。 (3)上述した(1),(2)の結果から、斜面の抵抗力に応じたLM線を求め、時間雨量と実効雨量により斜面管理の可能性を示した。
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