微生物固定電極を組み込んだ高速度硝酸イオン除去装置を設計、製作すると共に、硝酸イオン汚染地下水を効率的に処理するための装置構造及び操作条件について検討した。本年度、得られた主な知見及び実績は以下のようである。 1.不溶性金属電極を陽極とし、また脱窒菌を網目状電極表面に固着させた微生物固定電極を陰極として用いることにより、略10mg-N/L程度の人工硝酸イオン含有地下水をHRT1時間前後で高速処理することができる。この場合、被処理水を陰極部から流入させ陽極部より流出させる装置構造をとることにより、硝酸イオンの除去と処理水への酸素供給を同時に行うことができる。 2.流入水量や電流値が変動すると、微生物固定電極の浸漬部で亜硝酸イオン濃度が若干上昇する傾向がみられた。ただし、この亜硝酸イオンは陽極の不溶性電極部で硝酸イオンに酸化され、最終処理水の濃度は低く抑えられた。また、供試地下水中に存在する硫酸イオン、塩素イオンなどはほとんど変化せずそのまま流出し、微生物固定電極槽は硝酸イオンに対して高い選択性を有することがわかった。 3.陽極から発生する酸素をストリップ除去する装置構造をとることによって、脱窒処理の高速化が可能であるが、亜硝酸イオンが数mg/L蓄積する場合もあり、1)の装置構造に比べて脱窒性能は劣ることがわかった。 4.4人家庭用の地下水処理装置として容積が50Lの多段網目状電極を組み込んだ硝酸イオン除去装置を作製した。
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