研究概要 |
生物膜電極系内の電極反応速度、生物反応速度及び電場内のイオン輸送速度を考慮した一次元生物膜モデルを構築し、異なる通電条件下における生物膜電極の脱窒速度を解析した。その結果、電極の脱窒速度は電流によって大きく異なる"線形領域"、"プラトー領域"及び"減少領域"の3つに分割されることが示された。モデルの解析結果及び別に行った約1年半の連続実験結果より、線形領域が操作及び制御性の観点から優れていると考えられた。 一方、脱窒処理速度の高速化を目的としてメッシュ状電極を陽極に対して複数枚浸漬するシステムを新たに提案し、多重メッシュ電極型の生物膜電極装置を実際に製作した。種々の通電条件下で地下水の脱窒処理試験を行った結果、本装置は地下水中の硝酸イオンを安定して脱窒除去でき、また窒素除去に併せて処理水のばっ気(酸素供給)を長期間安定して行うことができることを示した。 なお、生物膜電極装置は農業活動に起因する農薬汚染水の浄化にも有効であることが分かった。すなわち、電極極性の切り換え等による操作によって農薬(イソプロチオラン)と硝酸イオンのみが選択的に除去さら、他のSO^<2->_4),Cl^-,Ca^<2+>などの支持電解質は通電量によらず流入水と流出水でほぼ同程度であることがわかった。
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