研究分担者 |
長沼 一洋 大林組, 技術研究所, 副主任研究員
坂田 弘安 愛知産業大学, 造形学部, 助教授 (80205749)
藤井 栄 京都大学, 工学部, 助教授 (70144334)
鈴木 紀雄 鹿島, 小堀研究室, 主任研究員
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研究概要 |
施工が容易で力学的に最も有効な開口補強方法を見つけだす目的で以下の研究を行った。 1.トラスモデルによる塑性解析を行った。この際にこれまでの解析方法では,せん断補強筋が少ない場合に支配的なアーチ作用をうまく表せないことが分かり,まず塑性解析法の改良を行った。続いて開口補強として最も有効ではあるが施工性はよいとはいえない斜め筋補強を基本とし,施工性を考えパラメータ解析をした。パラメータとして開口補強筋の定着位置(補強筋の角度),定着長さ,定着部分の折り曲げの方向を取り上げた。 2.塑性解析では,釣合条件のみが考慮され,変形の適合条件は無視される。開口近傍でひび割れが拡大することにより,骨材のかみ合いが減少して,圧縮力の伝達が困難になるケースもあり得る。また,ヒンジ領域での使用においても,変形能力との関連で,塑性解析に全面的に頼るのは危険である。そこで塑性解析で目星をつけたいくつかの候補について,有限要素法でも解析を行い,有効性を確認した。 3.これらの補強方法から梁に1個だけ孔がある場合について,力学的性能と施工性を確かめるための予備実験を行い,補強方法の有効性を確認した。 以上,1〜3を総合して,施工が容易で力学的に最も有効な開口補強方法として幾つかの候補を選抜した。しかし,これらの真の有効性を確かめるために1で取り上げたパラメータを用いた実験を行う必要性を感じている。幸いなことに本研究課題は次年度も継続課題として認可されているので,引き続きパラメータ実験を行い,より合理的な補強方法を提案し,既存の補強金物とも比較検討する予定である。
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