研究分担者 |
藤谷 伸 三洋電機, ニューマテリアル研究所, 主任研究員
米津 育郎 三洋電機, ニューマテリアル研究所, 主任研究員
山田 正明 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (30024342)
吉成 修 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (10134040)
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研究概要 |
本科研費でPCT(水素圧-組成-等温線)測定装置,及び超高真空焼鈍装置を製作した。これらを用いて以下の研究を行った。 1.Nd-Fe-B及びNd-Co-B系アモルファス合金による水素吸蔵特性とその構造,及び結晶化過程の研究 15〜30at.%Nd,0〜15at.%Bを含む上記3元系アモルファス合金の水素吸蔵放出特性を調べた。これらの系では広い組成範囲でアモルファス相を形成する。これらの系では393〜423K,10atmH2のもとで,H/M〜0.8の水素吸蔵能をもつ合金が得られまたその水素放出ピークも400K近傍であった。結晶化温度は組成に依存するが600K〜800Kと高く,水素吸蔵速度も速いので,今後表面処理等を工夫すればさらによい特性の材料が得られる見込みである。Bを含む合金は含まないものに比べ吸蔵能が若干低下するが,アモルファス相が安定化するため,実用上利点が多い。X線構造解析の結果,これらのアモルファス合金ではBを中心とする3角プリズム構造が存在し,アモルファス相を安定化させていることが明らかになった。現在これら合金のPCT特性を測定している。 2.Zr-Ni-Nb系アモルファス合金の水素吸蔵特性 15〜25at.%Zr,10〜30at.%Nbを有するZr-Ni-Nb系アモルファス合金の水素吸蔵放出特性を研究した。423K〜463K,30atmH2,でH/M〜0.6の吸蔵能が得られたが,その温度に置ける水素放出量はH/M〜0.3であり,残りの水素はより高温で放出した。Nbの添加はアモルファス合金の形成能を高めるが,一方水素を安定化し,その放出を遅らせる効果があることが分かった。従って今後実用的な合金開発には,30at.%Zr-60at.%Ni-10at.%Nb(またはV)の組成近傍を探索する必要があると言える。
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