研究課題/領域番号 |
07555479
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応募区分 | 試験 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
沖 憲典 九州大学, 大学院・総合理工学研究所, 教授 (70037860)
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研究分担者 |
中山 亮次 (株)三菱マテリアル, 総合研究所, 研究員
波田 聰 九州大学, 大学院・総合理工学研究所, 助手 (60264107)
板倉 賢 九州大学, 大学院・総合理工学研究所, 助手 (20203078)
桑野 範之 九州大学, 大学院・総合理工学研究所, 助教授 (50038022)
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キーワード | HDDR過程 / ネオジウム鉄ボロン磁石 / 異方性磁石粉末 / 電子顕微鏡 / 微細組織変化 / 結晶方位関係 / EDX分析 |
研究概要 |
Nd-Fe-B3元合金およびNd-Fe-Co-B-Zr5元合金におけるHDDR処理時間の増加に伴う微細組織変化をX線解析および透過電子顕微鏡により観察した。本年度は特に、成分元素のボロンの挙動および各分解相間の結晶方位関係をEDX分析と制限視野電気回折(SAED)実験により詳細に解析した。その結果、(1)水素化・相分解(HD)過程はNd_2Fe_<14>B主相がまず筋状あるいは球状のNdH_2相とα-Fe母相との相分解することで始まり、その後にFe_2B相が遅れて生成されること、(2)5元系合金では3元系に比べてHD反応がゆっくりと進行すること、(3)5元系の方が球状NdH_2の存在比が高いこと、(4)NdH_2とα-Feはその形態に拘わらずHDDR処理前のNd_2Fe_<14>B主相と特定の方位関係を持たずに生成されること、(5)分解初期にはNdH_2相中にボロンが多く含まれており、分解が進んでFe_2B相が形成されるに連れてNdH_2相中のボロン含有量が低下していくこと、(6)HD処理を長時間しすぎると球状NdH_2相の周囲に再結合リム相が形成され難くなることが明かとなった。これらの結果は、分解初期の球状NdH_2相中に存在するボロン(あるいはボロンを含む未知相)が異方化に寄与することを示唆している。今後、球状NdH_2相の内部と周囲に焦点を絞って丹念な組織観察を行い、異方化のメカニズムをさらに解明していく予定である。 一方、組織制御技術開発の観点からは、Fe_2Bの形成を制御し、球状NdH_2とα-Feのみに相分解させたHD処理組織を得ることで、ND_2Fe_<14>B再結合相の更なる異方化が期待できる。また、球状NdH_2α-Fe母相中に高密度に分布させた組織が得られれば、より微細な再結合相となり保持力の増大も期待できる。これらの点に注目して、より高性能な磁石粉末を得るための熱処理法の改善策を現在検討中である。
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