研究課題/領域番号 |
07555481
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
小林 和夫 長崎大学, 工学部, 教授 (30225495)
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研究分担者 |
横山 昭 日本カーボン(株)研究所, 副所長
佐野 秀明 長崎大学, 工学部, 助手 (10253634)
内山 休男 長崎大学, 工学部, 助教授 (50039690)
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キーワード | ポリイミドフィルム / ホウ素 / ランタン / 黒鉛化 / 高配向性黒鉛 |
研究概要 |
本研究は、ポリイミドフィルムあるいは炭化ポリイミドフィルムにホウ素あるいは希土類元素を蒸着し、積層させた後、高温処理することにより高配向性黒鉛体を作製し、高性能黒鉛モノクロメーターを開発することを目的としている。平成7年度の研究においては、ホウ素あるいはランタンの添加によりフィルムの黒鉛化は1500℃〜2500℃の高温処理により、無添加のフィルムより進行するが、配向性はやや低下することを見出した。平成8年度は、異なるホットプレス条件下でホウ素あるいはランタンを添加した積層フィルムを加圧状態で熱処理して、黒鉛化、フィルムの接合状態および配向性を調べて最適ホットプレス条件を見出すこと、また、ホットプレス後の高温処理の影響を調べることを目的とした。 4つの異なるホットプレス操作条件を検討した結果、ホットプレス装置内に積層フィルムを設置したまま、1500℃まで真空中で炭素化処理を行い、その後圧力を負荷した状態で高温処理を行う方法が最も黒鉛化が進行し、かつ、フィルム同士の接合もSEM観察の結果から最も良好であることが判明した。この場合も、無添加フィルムよりホウ素あるいはランタンを添加した試料の方が黒鉛化が進行した。黒鉛化の進行はホウ素あるいはランタンの炭素構造中への拡散あるいは固溶により促されたと考えられる。さらにホットプレス後2500℃で熱処理した場合、黒鉛化度はさらに進行するが、フィルムに多くのしわが発生し、また、フィルム間に剥離が生じた。この現象はホウ素あるいはランタンを添加した試料についても観察された。このことから、剥離を防ぎ、かつ高配向性を発揮させ高配向性黒鉛体を得るためには、ホットプレス条件、熱処理による結晶化、配向性の定量的計測、およびホットプレス後の高温処理の条件を今後さらに検討する必要があることが判明した。
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