研究課題/領域番号 |
07555491
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
複合材料・物性
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
落合 庄治郎 京都大学, 工学部, 教授 (30111925)
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研究分担者 |
森本 啓之 (株)神戸製鋼所, 材料研究所, 主任研究員
野口 健一 東レ(株), 複合材料研究所, 主席研究員
北條 正樹 京都大学, 工学部, 助教授 (70252492)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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キーワード | 複合材料 / 繊維 / 界面 / 強度 / 破壊 / クラック / 組織制御 / コーティング |
研究概要 |
繊維強化複合材料は次世代材料として喧伝されて久しいが、当初予想された程の実用化には至っておらず、その特性や信頼性の向上が課題となっている。この課題を解決するためには変形中に繊維・マトリックス破断により形成されるクラックの進展を阻止する機構を導入する必要がある。本研究では、炭化珪素繊維強化TiAl金属間化合物および炭化珪素繊維強化BMAS(結晶化ガラス)を用いて実験的検討を行うとともに、それらをもとに、界面や構成要素の種類・量を設計できる複合材料特有の長所を利用したクラック進展阻止機構のの導入条件を予測できるモデル化・シミュレーション法の開発を行った。主な結果は以下のように要約される。 (1)モードIクラック先端のエネルギー解放率は剥離長さの増加と共に急激に低下すること、また、その結果、低強度・低靭性の原因となるモードI破壊を阻止するためには僅かの界面剥離(繊維径の数倍程度)で大きな効果があることを明らかにした。 (2)界面剥離が生じる条件として、モードIIタイプの破壊がモードIタイプの破壊に先駆けて生じることが必要で有ることを実験的に明らかにした。また、破壊力学計算より前者と後者の比が約0.3以下のときこの条件が満足されることを見いだした。 (3)界面剥離はマトリックスの弾性率が低く、繊維体積率が低い場合は不安定に成長するが、そうでない場合は、安定成長することを明らかにした。 (4)マトリックスに引張残留応力、繊維に圧縮残留応力が存在する場合、マトリックス破壊に起因する界面剥離は促進され、繊維破壊に起因するそれは遅らされることを明らかにした。繊維破断・マトリックス破断が材料内各所で空間的にばらついて発生する場合の界面剥離の進行を記述するには、破断点間の相互作用を解かねばならず、これまで重要な課題であるにも拘らずほとんど踏み込んだ研究は無かった。本研究では、モデリング・シミュレーション法を開発した。 (5)マトリックス側を高弾性、繊維側を低弾性となるような繊維への傾斜および多重コーティングは、コーティング層が壊れてモードI破壊が起こる場合にも、繊維強度低下を防ぐ効果があることを明らかにした。また、マトリックスやコーティング層の多重破断はクラック間隔の減少により、クラック先端のエネルギー解放率を低下させることを明らかにした。 (6)炭化珪素繊維強化TiAl金属間化合物および炭化珪素繊維強化BMAS(結晶化ガラス)を用いて、繊維への応力伝達をそれほど低下させない程度に界面を弱くすることによりクラック進展阻止できることを実験的に証明した。
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