直流電圧印加法により、Agイオンをガラス表面に拡散浸透させた。拡散浸透量は電気量に比例し、その体積が増加する結果として表面の隆起が観察された。拡散浸透のままでは無色透明であるが、還元処理によりAgコロイドを析出させると茶色の不透明となった。 超音波顕微鏡を使用して、先ず、組織観察を行うための最適周波数と倍率、デフォーカス量を決定した。次いで、X-Z画像を200-400MHzの周波数で測定し、各位置におけるV(Z)曲線を抽出し、その解析から音速を決定した。ガラスの音速は約3000m/sであり、Agイオン拡散層の音速は低下した。その音速には周波数依存性が見られ、約300MHzに変局点を有する。この周波数分散特性から、Agイオン層の浸透深さは約8ミクロンであり、断面のSEM-EDAXによる観察結果と一致した。 現在、ガラス同士を張り合わせた複合ガラス界面近傍の評価について、基礎的研究を進めている。その結果、拡散層の濃度分布を音速変化として測定する可能性が見いだされた。
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