研究概要 |
平成7年度においては、0.5M-H_3BO_3/(0,0.005,0.05M)-Na_2B_4O_7溶液(20℃)中、高純度アルミニウムの定電流アノード酸化を行い、そのさいのアノード電位、エレクトロルミネッセンスおよび溶出アルミニウムイオン量の時間変化を調べるとともに、生成するアノード酸化皮膜の構造を走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡により観察した。また、沸騰純水および沸騰モノエチルアミン溶液中に浸漬した試料を0.5M-H_3BO_3溶液中でアノード酸化を行い、アノード酸化皮膜の成長挙動におよぼす熱水処理の影響を調べた。主な結果は、次のようである。 1)アルミニウムアノード酸化皮膜の絶縁破壊電圧は、Na_2B_4O_7の添加濃度が減少するほど高くなり、0.5M-H_3BO_3/0.05M-Na_2B_4O_7、0.5M-H_3BO_3/0.005M-Na_2B_4O_7および、0.5M-H_3BO_3溶液中においては、それぞれ420,550および1180Vである。 2)何れの溶液においても、絶縁破壊電圧以下においては、皮膜の溶解電流効率は、2〜4%であるが、絶縁破壊以後においては、25%に増大する。 3)エレクトロルミネッセンスは、0.5M-H_3BO_3/0.05M-Na_2B_4O_7,0.5M-H_3BO_3/0.005M-Na_2B_4O_7溶液中においては、絶縁破壊ののちに急激に増大するが、0.5M-H_3BO_3溶液中においては、700V以上でかなりの強度となる。 4)0.5M-H_3BO_3溶液中において生成するアノード酸化皮膜には、数多くの細孔が存在し、この細孔の底部におけるガス発生および皮膜の局部溶解が、皮膜の絶縁破壊の原因となる。 5)アノード酸化に先立って水和酸化物皮膜を形成すると、アノード電位の増加速度が増大するが、絶縁破壊電圧は変化しない。
|