研究分担者 |
村橋 紀昭 三菱マテリアル, 中央研究所, 研究員
河野 通 三菱マテリアル, 中央研究所, 室長
吉見 享祐 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80230803)
村山 洋之助 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (60111308)
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研究概要 |
Nb_3AlおよびNbCr_2合金を用いて金属間化合物合金の水素化による微粉化機構を調査した.まず,水素吸蔵特性は材料の表面状態に敏感であるため,溶解した合金の水素吸蔵-放出特性を測定するまでの処理をすべて不活性雰囲気のクローズドシステム中で行うプロセスを開発した。このプロセスを用いて水素吸蔵-放出特性を再現性よく測定するとともに,測定後の試料の格子定数を精密に測定し,粉末の形状およびサイズ分布を観察した.得られた結果は次のようにまとめられる. (1)水素処理により微粉化するのはいずれも二相合金,Nb_3AlとNb固溶体,Nb_3AlとNb_2Alで,Nb固溶体,Nb_3AlまたはNb_2Alなどの単相では微粉化しない。 (2)格子定数の測定結果から,水素処理によりNb固溶体,Nb_3Al,Nb_2Alは水素を吸収して膨張する.膨張量はNb固溶体>Nb_3Al>Nb_2Alの順である. (4)水素吸蔵したいずれの相においても新たな水素化物は生成しない. (5)生成した粉末は薄片状である. これらの結果から,水素吸収による微粉化機構として,水素処理により表面から水素が吸収されて体積膨張することにより,脆性的な金属間化合物にクラックが発生し,これを起源としてクラックが進展することにより微粉化するというモデルを提案した.粉末が薄片状になるのは,表面からの水素の吸収量に依存して剥離が起こるためである.このモデルの普遍性を実証するために,Nb_3Al合金の破壊靭性を変化させるような添加元素を加えた三元合金,Nb_3Al以外の金属間化合物合金,例えばNbCr_2合金を用いて微粉化挙動を調査しており,上記のモデルの妥当性が実証されつつある.
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