研究課題/領域番号 |
07555514
|
研究種目 |
試験研究(B)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柴田 浩司 東京大学, 工学部(試), 助教授 (90011121)
|
研究分担者 |
朝倉 健太郎 東京大学, 工学部(試), 助手 (10111460)
秋末 治 新日本製鐵(株), 技術開発部, フェロー
|
キーワード | 鉄 / スクラップ / リサイクル / 銅 / 高温延性 / 評価法 |
研究概要 |
鉄鋼蓄積量が年々増加し、地球環境保護、資源の有効利用、エネルギーの節約などの観点から、スクラップの有効利用(リサイクル)が世界的課題になっている.本研究では、上記課題達成の最も大きな障害である高温割れに及ぼすトランプエレメント(循環性不純物元素)の影響を、定量的に評価できる方法を確立することを目的とする。具体的には、(1)高温引張試験機の加熱コイル、治具などを改良して、歪み速度、加熱雰囲気などをこれまでより広い範囲変化させた実験を行う、(2)変形をより表面に限定できる曲げ試験を改良して、表面割れ性の評価に利用する方法を検討する、(3)現場の熱間圧延時に生じる表面割れ、表面きずの生じやすさと、高温引張試験で得られる特性値を比較・検討して、熱間圧延時の表面割れ、表面きずの生じやすさを簡単に評価できる方法を見いだすことである.目的達成のため、平成8年度は以下の研究を計画した.(1)供試鋼の溶解:現場において、従来からの定性的な方法により表面割れ性に関するデータが得られている自動車薄鋼板用含Cu鋼と同等組成の鋼を溶解する.(2)加熱炉と治具の改良:既存の常温・低温油圧式引張試験機を高温引張試験機に改良する.現在、電気炉加熱インストロン型引張試験機およびら高周波加熱油圧型引張試験機を用いているが、前者は高速度の試験ができず、後者は加熱の際の均熱部を長く採ることが難しい.(3)高温引張試験による延性(割れ感受性)評価:上で改良した試験機を用いて引張試験を行い、試験温度、歪み速度、雰囲気の影響を明らかにするとともに、現場におけるデータと比較する.(4)高温曲げ試験治具の設計:再現性、精度の優れたものを目指す. その結果、(1)に関しては、溶解を完了し(3)の実験に供した.(2)に関しては、加熱炉と治具の改良を行ない予備実験を行ったが、目的の歪み速度が達成できることは確かめられられたが、電源不足で目的の試験温度を得ることが出来なかった。そのため、目的の歪み速度の実験は、次年度他所の試験機にて行うことにし、本年度は目的の歪み速度より少し遅い歪み速度の試験をインストロン型試験機を用いて行った.(3)に関しては、歪み速度が速い場合でも、高温引張試験を用いた申請者らの評価方法が有効であることを示す、期待された通りの実験データを得ることが出来、その成果を鉄鋼協会春期講演大会にて発表する.(4)に関しては、再現性、精度の優れたものを目指し現在設計途中である.
|