近年、加工表面の表面性状のオンライン管理の要求にともない、表面粗さを光学的手法によって測定するものがいくつか考案され開発されてきた。しかし、いずれも、その測定精度や汎用性から研究室の領域を出られないものが多いのが現状であり、新たな非接触インラインプロセス計測装置の開発が望まれている。 本研究は、申請者が既に開発した画像処理装置を用いた散乱光計測システムによる散乱光の2次元的処理方法を利用して、画像処理散乱光インラインプロセス計測装置の開発を行うものであり、互いに具体的な実用化の検討を行うことを目的としている。 本年度は、現有の実験室用レーザ散乱光計測装置を研究室用圧延機に取り付けてインラインプロセスで計測できるように改良を加えた。これとは別に、スクリーン上に投影された散乱光の画像処理に対し、現有の装置ではデータ処理に数分も要していたのを、新しい超高速A/Dボードを使用することにより予想を上回る数秒までに高速化することが可能となった。この結果は、実際の加工条件に対応できる計測が可能となったことを示しており非常に意義が大きかった。 次に新たに改良した画像処理装置を取り付けた圧延装置を用いて、実際に具体的な計測を試みた。これらの具体的な計測結果から、試料表面に潤滑油が付着していると、測定結果に大きな影響を与えるという知見が得られた。この結果は実際の計測に当たっては、試料表面に付着する潤滑油の問題や測定物が振動する問題など、解決しなければならない問題点が未だ存在していることを示唆している。
|