表面粗さは工業製品や機械部品の表面機能に関する重要な量であり、工業界においても重要な管理対象とされている。近年、加工表面の表面性状のオンライン管理の要求にともない、光学的手法による非接触センサ、とりわけレーザ光線を用いたものがいくつか考案されてきた。しかし、いずれも2次元的に散乱した反射光を1次的に光学センサを用いて処理するもので、その測定精度や汎用性から、研究室の領域を出られないものが多いのが現状である。このような状況から新しい非接触インラインプロセス計測装置の開発が望まれている。 申請者が既に開発した画像処理装置を用いた散乱光計測システム(特許公開中)は、反射散乱光を半透明性のスクリーンに投影し、散乱光分布の全体かもしくはほぼ全体の1枚の画像としてとらえることにより、非常に容易に散乱光分布の2次的処理が可能である。本研究は、この散乱光の2次元的処理方法を利用して、画像処理散乱光インラインプロセス計測装置の開発を行ったものである。 本研究では、画像処理装置を用いた新しいレーザ散乱光による表面計測システムおよび評価方法を考慮し、その有効性を検討した。更に、本計測システムを用いてオンライン計測を行う際、問題となっていたシステムの高速化に対し、画像入出力ボードを高速処理可能なものにすること、また画像処理プログラムを高速なものに変更することにより、実験室レベルでのオンライン計測が可能なまでに成功した。 このことは、さらに、計測システムの各部分について、より高速処理可能なものに変更していくことによって、一層の高速化が望めることを示した。さらに、オンライン計測において問題となる、油膜の影響、振動の影響、表面変化への追従性に対し、これまでの実験より次のことが分かった。 1)油膜がある場合は2値化面積を大きくする。 2)圧延における通常の振動に対し、本計測システムは影響を受けない。 3)材料表面の変化に対し、高い追従性を持つ。
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