研究概要 |
連続鋳造工程において,鉄鋼の品質向上の観点から,メニスカス近くの溶鋼流れの挙動を詳細に把握することが不可欠である.モ-ルドの上面に浮かぶパウダーは溶鋼の酸化防止,保温,シェルとモ-ルド内壁との間の潤滑剤として重要な役割を果たしている.しかし,このパウダーが溶鋼の中に吹き込まれ,非金属介在物として鉄鋼の品質低下を引き起こしている. 平成7年度の研究の主目的は,タンディシュから浸漬ノズルをを介してモ-ルドへ流入するモ-ルド内流れの挙動を,数値解析することである.本数値解析において,時間の経過に伴い自由表面形状がどのようになるかを調べるため,非定常座標系が採用された.この格子系は計算領域の一番上の面が自由表面境界に適合するように,各時間ステップごとに更新される.よって,物理空間での座標系は場所のみでなく,時間の関数としている.また,支配方程式系の離散化において,対流項にはDonor-Cell法を用い,拡散項には中心差分を適用している.得られた数値結果は実機大の水モデル実験の結果と比較し,両者の間には良好な一致が得られた.また,これらの成果は,鉄鋼協会誌に掲載されることが決まっている.
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