研究概要 |
高融点金属箔を低融点金属箔で挟んだ不均一な中間層を用いて、低融点金属箔の融点直上で接合するPTLP(Partial Transient Liquid-Phase)法を確立した。この方法は、固相拡散接合法と活性金属ろう接法を合体させた接合法で、接合温度を従来の固相拡散接合法や活性金属ろう接法に比べて数百度低くすることができ、さらに得られた接合体は高温への適用が可能である。本研究では、Cu/80Ni・20Cr/Cuの中間層を用いたPTLP法により、Si_3N_4同志の接合を1150℃の真空中で行った。また、溶融銅のSi_3N_4に対する濡れ性に及ぼすCr,Niおよび80Ni・20Cr合金の添加の影響を、静適法を用いて1150℃の真空中で測定した。さらに、界面反応について調査し、PTLP法による接合のメカニズム解明を行なった。 Si_3N_4/Cu/80Ni・20Cr/Cu/Si_3N_4の接合体の破壊は中間層/Si_3N_4界面で起こっており、十分な接合強度は得られなかった。これは、濡れ性の実験結果から、接合時に液相となる溶融銅中にCrが溶解することにより溶融銅とSi_3N_4との濡れ性は改善されるが、中間層の均一化が不十分で、中間層/Si_3N_4界面に脆弱な化合物層が生成しているためであることが明らかとなった。現在、Si_3N_4セラミックスの接合に適した中間層の設計と接合条件の検討、及び静適法による濡れ性の実験と界面反応の調査を継続中である。 得られた結果の一部は、International Symposium on Advanced Materials and Technology for 21st Centuryにて発表,公表済みである。また、Si_3N_4セラミックスについての接合及び濡れ性の実験結果は、Materials Transactions,JIMに投稿準備中である。
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