研究概要 |
スポット溶接部のインライン・インプロセス品質評価システムを確立するために,平成7年度はその基本技術となる赤外線熱画像を利用したスポット溶接部の計測技術や品質評価法の開発を行い,以下の点を明らかにした. 1.エネルギパルス法によるスポット溶接部の検出 接合形状を短時間に,しかも正確に測定できる,エネルギパルス法を利用した通電加熱による赤外線放射温度測定システムを試作し,電極の適正配置を実験と数値計算から調べた.その結果, (1)接合形状に対応した熱画像を得るための通電方法としては,スポット溶接部を中心として裏側に6個,表側に2個電極を配置して裏側から表側に1/60〜2/60秒間通電するエネルギパルス法が有効であることが明らかとなった. (2)通電による表面の温度変化は通電直後から現れ,接合部検出のための熱画像は通電後4/60〜5/60秒で得られ,計測時間が0.1秒以内となることが明らかになった. 2.画像処理によるスポット溶接の接合形状,接合径の評価および接合強度の推定 スポット溶接部の赤外線熱画像から接合径,接合形状を抽出する画像処理法とそれを利用した接合強度の推定法を,数値計算と実験から調べた.主な結果は次の通りである. (1)赤外線熱画像から得られた温度分布の一次微分,二次微分を利用した画像処理法を提案し,固相接合部と溶融接合部を±0.3mmで測定できることを明らかにした. (2)接合強度については,板厚,板幅,接合径,母材強度,接合部の材質変化が大きく影響し,これらの関係を明らかにして,接合径,溶接後の板厚から接合強度を推定する方法を提案した.
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