研究概要 |
超音波ワイヤーボンディングは、大集積度のIC、LSI等の信頼性を決定するキ-テクノロジーであり、本研究は接合性能の向上のために、(1)複合振動軌跡、(2)高周波数を用いる事を提案し、その有効性を示している。 (1)複合振動軌跡の接合装置:複数の振動系を組み合わせ、超音波振動溶接チップの振動軌跡を線形から長方形、方形、または楕円形として接合を行う事により必要振動速度が数分の1以下となり、必要接合時間も短縮できる事を示した。周波数40,60,90,120および190kHzの複合振動超音波ワイヤーボンディング装置を試作し、複合振動および高周波数の有効性を示した。 (2)線形振動の高周波数の接合装置:周波数40,60,90,120,190,330,600および780kHzの現在の商用装置の13倍以上迄の高周波数の超音波接合装置を試作し、接合性能につき検討した。溶接試料としては直径0.1mmおよび0.03mmのアルミニウム細線を共通に用い、十分な接合に必要な超音波振動の振動振幅・速度につき調べ、40〜780kHzの広範囲にわたる周波数特性を初めて明らかにした。必要振動振幅は600kHzでは60kHzの1/30以下で0.05μm(peak-to-zero value)程度であり、極めて小さく、大集積度に対応した極細線の接合に適している事を明らかにした。 (3)接合の方向性:複合振動により接合の方向性が完全になくなり、一様で大面積・大強度の接合が可能であり、また高周波数により接合の方向性が無くなり、直径0.1mmのアルミニウム細線の場合には330kHz以上で接合の方向性がほゞ無くなり一様な接合が可能となることを示した。 (4)斜めスリットを有する振動変換器による一軸構成の高周波数複合振動系の構成につき検討した。
|