シリコンや金属酸化物の単結晶製造技術に一つとしてチョクラルスキー法と呼ばれる回転円筒容器を用いた装置(CZ炉)が工業的に重要である。特に、最近は結晶の径と品質について多様で、かつ精密さが要求されている。そのため、装置内の物理現象に関する正確な知識を基にして制御システムを構築することが要求されるようになってきている。本研究では、新しい制御システムを構築するために必要である、CZ炉内の融液と容器側壁、底面壁ならびに結晶界面との間の伝熱係数を求めることを目的として、回転円筒容器とそれと独立にかつ容器と同軸で回転する円盤を有する実験装置を用いて実験的ならびに数値的検討を行い下記の結果を得た。 1.円筒容器および円盤の回転速度の大きさと速度比とが回転円筒側壁、底面壁および円盤面上の伝熱係数に及ぼす影響を求めた。 2.結晶の冷却温度が変動する場合を想定して、冷水の温度を正弦波状に変化させ、容器側壁、底面壁、円盤壁および容器内の水の温度を連続的に測定することにより、回転円筒側壁、底面壁および円盤面上の伝熱係数の時間的変化を明らかにした。 3.上記の測定を、容器ならびに円盤のそれぞれの回転数、正弦波の振幅ならびに周波数を変化させて行い、それぞれの影響を求めた。 以上の測定結果を無次元の実験式の形にまとめた。また、これらをCZ炉全体にわたって積分された輸送方程式に適用し、実用的な制御系の支配方程式を求め、実際のシミュレーションを行い妥当な結果を得た。
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