研究課題/領域番号 |
07555550
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
上和野 満雄 横浜国立大学, 工学部, 教授 (70017896)
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研究分担者 |
樽本 淳 綜研化学(株), 研究開発センター, 副主任研究員
山本 一巳 綜研化学(株), 研究開発センター, 主任研究員
仁志 和彦 横浜国立大学, 工学部, 助手 (20262412)
上ノ山 周 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (50233945)
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キーワード | 撹拌槽型重合反応器 / 温度むら / 重合物物性 / リアルタイム多点温度計測装置 / ファジ-制御 / 重合シミュユレーション / ラジカル付加重合 / 熱伝達係数 |
研究概要 |
本研究は、超高粘度・高発熱となる重合反応において、反応の進行に伴って、重合液の粘度が増大する現象が生じ、そのために流動が不良となり、槽内の冷却が困難となって、しばしば、槽内の温度むらが発生する。この温度むらは温度むらは重合物物性に悪影響を及ぼすことになるので、同温度むらを低減させるための最適な重合システムを構築するものである。 平成8年度においては、以下の研究を行った。 (1)前年度までに試作したON-OFF式温度制御系を具備した撹拌槽型重合反応システムを用い、種々の操作条件においてメタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルの重合反応を行い、操作条件と得られる重合物物性の関係について知見を得た。実験においては槽内の冷却コイルにおる総括熱伝達係数および、コイル側熱伝達係数の測定もあわせて行い、槽内の伝熱状態と温度むら発生の関係を定量的に検討し、論文として報告した。 (2)冷却コイルを高さ方向に5分割し、それぞれのコイルを独立に通水制御する重合反応槽(以下、5分割型重合槽と称す)を作成した。同重合槽を用い、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルの重合反応を行い、5分割型重合槽を用いることで、槽内に発生する温度むらの低減ができ、同重合槽は従来のものにない、良好なものであることを明らかにし、化学工学会年会にて報告した。 (3)5分割型重合槽において、異なる温度制御方法(ON-OFF制御、PID制御、ファジ-制御)を用いて重合反応を行い、温度制御法と槽内温度むらの発生状況、さらに得られる重合物の物性との関係について明らかにし、化学工学会年会にて報告した。 (4)重合反応槽内における、温度むらの発生状況や、槽内の伝熱状態をシミュレートする手法の開発を行った。同シミュレーションでは、槽内の3次元流速分布、温度分布、粘度分布、および得られる重合物の転化率、分子量分布などを合理的な計算時間で算出するものであり、重合槽の設計、最適運転条件の決定に有効なものであることを明らかにし、論文として報告した。
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