研究概要 |
血管内留置及び皮下埋め込み式グルコースセンサーを用いた人工膵臓システムの開発が行われ始めた。しかし現状ではセンサー最外層膜へのタンパク質等妨害物の付着によるセンサー機能の劣化などの問題により、その安定性、信頼性を保証することができず、未だ臨床応用には至っていない。そこで最近ではセンサーを直接皮下脂肪組織内に埋め込まず、マイクロダイアリシス法を応用し、皮下組織液のグルコース濃度を間接的に測定する方法が考案されている。 そこで、本研究ではマイクロダイアリシスサンプリング法を用いたグルコースセンサーを作製する目的として、皮下組織内に挿入するマイクロダイアリシス透析プローブに注目し、回収率、生体適合性等の面からグルコース濃度センシングに適したプローブを開発、評価を行った。同時に生体情報である皮下組織内の物質移動係数を求めin vitroと比較した。皮下組織内のグルコース濃度と血糖値との関係も実験により明らかにした。また、マイクロダイアリシスプローブ透析膜に各種高分子中空糸膜及びNafion、MPC表面処理膜を用いたときの長期安定性のin vitro実験での比較を行った。 再生セルロースは150時間後には70%にまで低下した。同様にエチレンビニルアルコール、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、ポリメチルメタクリレートはそれぞれ55%,72%,68%,69%にまで低下した。しかしながら再生セルロースに表面修飾を施したプローブ(Nafion膜、MPC膜)は時間に対して低下は見せたものの、その低下は小さく150時間後の回収率の低下はNafion膜は84%,MPC膜は81%にとどまった。 透析膜にNafion、MPCを修飾することにより長期使用による回収率の低下を抑えられることを実験により明らかにした。
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