研究課題/領域番号 |
07555573
|
研究種目 |
試験研究(B)
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
川村 尚 岐阜大学, 工学部, 教授 (40026125)
|
研究分担者 |
海老原 昌弘 岐阜大学, 工学部, 助手 (80201961)
辻 康之 岐阜大学, 工学部, 助教授 (30144330)
|
キーワード | クラスター錯体 / イオンラジカル / 磁性 / 結晶構造 / 不対電子軌道 / ロジウム / 芳香族配位子 / 共役 |
研究概要 |
共役π電子系をもつ配位子により架橋されたロジウム等の遷移金属の複核錯体において、複数の配位子上の共役π電子系が金属原子d軌道を介して相互作用した新しい電子系の形成が見出された。このような錯体の結晶中では多次元相互作用系が構築され、磁性・電導・光応答等の面で新しい機能の発現が期待される。そこで分子内π-d相互作用と分子間π-π相互作用の大きなクラスター錯体イオンラジカルを検索し、それらの幾何構造ならびに電子構造と物性評価を進め、以下のような結果を得た。 (1)ホスフィンを軸配位子とするRh(II)の複核錯体を1電子酸化してカチオンラジカル塩を合成単離し,単結晶X線構造解析を行った。1電子酸化に伴って、Rh-Rh結合距離は0.05Å長くなり、Rh-P結合距離は著しく短くなり(0.12Å)、Rh-Rh結合電子がホスフィン上に大きく非局在化していることが明らかとなった。(2)含イオウ芳香族配位子であるイソチアゾロンを架橋させたロジウム複核錯体の結晶において、配位子面が分子間で重なり合った1次元鎖が形成されることを見出した。この1次元鎖形成はイオウ原子間の局所的分子間相互作用によりもたらされていると考察された。(3)メチルヒドロキシピリジン架橋ロジウム複核錯体カチオンラジカル塩の磁化率測定より、スピン間相互作用が反磁性的でその大きさが10cm^<-1>であることを明らかにした。(4)白金ジチオカルバマートと銀ホスフィン錯体の反応により、新しい異核多核錯体が形成され、そのカチオンラジカルもCV時間スケールで安定であることを明らかにした。今後、電子供与性の強いヘテロ芳香族架橋配位子をもつ錯体の構造と物性を調べて、有用な機能発現を検索することが必要と考えている。
|