研究課題
本年度では、鋳込み成形および金型プレス成形を対象とし、得られる成形体の微構造と原料スラリーの特性を相関づけ、成形体微構造最適化のための新たなスラリー評価法として、スラリーの濃縮過程を的確に模擬でき遠心圧密法が有用であること、広範囲な実験により実証した。スラリー評価実験では、粒子接触点での力学的条件を制御したアルミナスラリーを調製し、その遠心圧密挙動とレオロジー特性との関係を微視的観点より考察した。また、遠心沈降過程を個々の微粒子接触点に着目して微視的に解析を進めるために、重心移動検知法による圧密過程の測定を行い、成形体微構造を最適化するためのスラリー調製条件の予測が可能であることを、レオロジー解析により実証した。スラリーの力学的特性と成形体微構造との関係は、鋳込み成形および顆粒の作製実験により行った。鋳込み成形過程で得られる成形体の微構造は、形成されるケ-クの降伏値と鋳込み圧の関係により定量的に評価できる見通しが得られた。一方、噴霧乾燥法により作製した顆粒はスラリー調製条件によりその形状が異なっており、従来の評価法であるスラリー粘度では相関づけられず、スラリー中の微粒子分散構造に依存することを明らかにした。この結果を基に顆粒の形状形成過程を解析するモデルを提案し、その妥当性がスラリーの遠心圧密による評価法の適用により実証された。これらの評価技術を基に次年度では、遠心沈降重心移動量測定装置をベースとして、ファインセラミックス成形体微構造最適化のための新たなスラリー特性評価装置として開発する。