研究分担者 |
佐々木 皇美 通産省, 工技院・北海道工業技術研究所・資源エネルギー基礎工学部, 技官(研究職)
千葉 忠俊 北海道大学, エネルギー先端工学・研究センター, 教授 (70001295)
仙北 久典 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50241360)
折登 一彦 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20109482)
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研究概要 |
本研究は電解を利用して常圧の二酸化炭素を各種の有機基質に固定化することによって有用な有機カルボン酸を合成することを目的として行われたものである。成果の概要を以下に述べる。 1.反応性電極を用いる電解カルボキシル化による不飽和カルボン酸の合成-常圧の二酸化炭素の存在下マグネシウムの反応性電極を用いて電解することによって、γ-置換ハロゲン化アリルからγ-置換-β,γ-不飽和カルボン酸、ハロゲン化ビニルからα,β-不飽和カルボン酸、ハロゲン化プロパルギルから1,2-アルカジエン酸、1,4-ジブロモ-2-ブロモメチル-2-ブテンから3-メチレン-4-ペンテン酸、ビニルトリフラートからβ-ケトカルボン酸をいずれも位置選択的および高収率で合成することができた。2.抗炎症剤の高効率的合成-1で得られた成果を基としてIbuprofen、Naprpxen、Flurbiprofen、Cicloprofen、Ketoprofen等の抗炎症剤の前駆体であるα,β-不飽和カルボン酸を高収率で合成することに成功した。高エナンチオ選択的な水素化反応がすでに知られているので、本電解カルボキシル化は抗炎症剤の合成法としてきわめて有用であることを明らかにした。3.流動層電解装置を用いる電解カルボキシル化-流動層電解装置を試作し、臭化シンナミルの電解カルボキシル化を例にとって二酸化炭素の流量、反応温度、通電量、電流密度などの影響について詳細な検討を行い、最適条件を決定した。この条件下において種々の基質について電解カルボキシルを行い、好収率で相当するカルボン酸を得ることができた。イブプロフェンおよびその前駆物質の合成にも成功した。流動層電解装置を使用した場合は、通常の電解セルに較べて一般に高収率、高選択的に生成物を与え、特に、高い電流密度で電解を行う場合に有効性を発揮し、当初の目的であった大量合成のための基礎的知見を十分に得ることが出来た。
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