研究概要 |
平成7年度に得られた主な成果は次のようにまとめられる。 (1)環状過酸化物の出発原料として溶媒捕獲生成物が重要であるが、その生成にはシクロアルケンの骨格と溶媒の求核性が重要であることを明らかにした。例えば、インデンのオゾン化で、求核性の高いメタノール中でのオゾン化ではカルボニルオキシドの直接捕獲が起こりα-アルコキシアルキルペルオキシドが、一方求核性の低いトリフルオロエタノール中での反応では、カルボニル基の隣接基関与を経由して反応が進行し、対応するα-アルコキシ-α′-ヒドロキシエーテルが得られることを見出した。 (2)上記研究で得られた溶媒捕獲生成物α-アルコキシ-α′-ヒドロキシエーテルのホルムアルデヒドオキシドによる捕獲と、それに続く酸触媒環化反応により、8員環過酸化物1,2,4,5,7-ペンタオキソカンが得られることが分かった。 (3)カルボニルオキシドの新しい高次環化付加の例として、ニトロン、カルボニル基との[3+3+2]環化付加により、新規骨格8員環過酸化物3,4-ジヒドロ-1,2,5,7,4-テトロキサゾシン誘導体が得られることを見出した。 (4)反応性の高いビニルエーテルはオゾンときわめて容易に反応する。ここで生成するカルボニルオキシドが共存するイミンに効率的に付加し、1,2,4-ジオキサゾリジンを高い収率で与えることを見出した。その応用範囲の広さから、この手法は、この骨格をもつ環状過酸化物の最も一般性の高い合成法となっている。
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