研究概要 |
1.エステル基を活性化基とするo-アルコキシル基の非古典的芳香族求核置換反応を1-フェニルナフタレン骨格の形成に適用した。即ち、1-(-)ーメントキシ-2-ナフトエ酸エステル誘導体と2,6-二置換フェニルグリニヤール試薬との反応により、軸不斉1-フェニル2-ナフトエ酸誘導体を高化学収率、かつ、高不斉選択的に合成することができた。フェニル基の2,6-位置換基の変換により、鎮痙剤としての応用の期待されるo-メチルハマチンの高効率合成に成功した。 2.硫黄原子団(スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルホニル基、アミノスルホニル基)を活性化基とする芳香族求核置換反応について詳細に検討し、以下の点を明らかにした。 (1)-SOR基は非古典的芳香族求核置換反応における活性化能が低い。 (2)-SO_2Bu^t基は相当の活性化能を有するが、求核試薬の立体障害を受けやすい。 (3)-SO_2Pr^i基では立体障害は緩和されるが、かさ高いGrignard試薬ではα-水素の引き抜きも併発する。 (4)-SO_2OPh基では電子吸引効果は減少するものの、立体障害は相当改善される。 (5)-SO_2NR_2基ではさらに電子吸引効果による活性化能は低下するが、非古典的求核置換反応を行う能力は十分に有する。不斉なアミノ基を用いることにより、軸不斉ビナフチル誘導体の不斉合成に成功した。 3.ジフェニルホスフィノイル基を活性化基とする反応において求核試薬に不斉アミドを用いることにより、新規な不斉アミノホスフィン配位子を合成する方法を確立した。今後、これらを触媒的不斉合成反応に応用する予定である。
|