研究概要 |
1.新規不斉アミノホスフィン配位子の合成と応用 1-メトキシ-2-ジフェニルホスフィノイルナフタレンへのキラルな二級アミンのリチウムアミドの芳香族求核置換反応と、それに続くホスフィノイル基のトリクロロシランによる還元により、種々のキラルなアミノホスフィン類を合成した。また、これらのパラジウム錯体を触媒とする酢酸1, 3-ジフェニル-2-プロペニルへのジメチルマロネートのアリル置換反応では、最高80%eeの選択性が達成された。 2.トリアリールアミン類の高効率合成法の確立 2-または4-フルオロ安息香酸の2, 6-ジ-t-ブチル-4-メトキシフェニル(BHA)エステルへのリチウムジフェニルアミドの芳香族求核置換反応をTHFまたはTHF-HMPA混合溶媒中で行うことにより、電荷輸送材料の有用な合成中間体である2-または4-(ジフェニルアミノ)安息香酸類が高収率で簡便に合成できることを見出した。 3.キラルなアセタールを不斉源とする不斉ビアリールカップリング反応の開発 1, 3-ベンゾジオキソ-ル-4-カルボン酸BHAエステルをフェニルリチウム試薬と処理すると、ホルムアルデヒドの脱離を伴う芳香族求核置換が進行し、6-ヒドロキシビフェニル-2-カルボン酸エステル類が高収率で得られることを見出した。そこで、光学的に純粋な2-メチル-1, 3-ベンゾジオキソ-ル-4-カルボン酸BHAエステルを基質とする不斉反応を試みたところ、79%eeの不斉選択性が達成された。
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