研究概要 |
1.キラルなフルオレノール,インダノールの合成と不斉助剤としての機能評価 1-フェニルフルオレノール、2,2-ジメチル-7-(2,4,6-トリメチル)-1-インダノールを(S)-2′-メトキシ-1,1′-ビナフチル-2-カルボン酸のエステルに誘導することにより、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで容易に光学分割することができた。分割したフルオレニルエステルを水素化アルミニウムリチウムで還元して得たフルオレノールは部分的にラセミ化しており、光学純度は89%eeであった。一方、インダノールは同様の方法で99%eeで得られ、ラセミ化に強いことがわかった。得られたインダノールのベンゾイルギ酸エステルへのメチルGrignard試薬の1,2-付加反応では、83%deの選択性が達成された。 2.配位性隣接置換基の反応促進効果の検討 3-位にメトキシ基、ジメチルアミノ基、ハロゲンなどの置換基を有する2-メトキシ安息香酸の2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニルエステルへのGrignard試薬の芳香族求核置換反応は、3-位無置換体に比べて著しく促進されることを見出した。この反応促進効果は、3-位置換基の静電的効果では説明できず、2-位メトキシ基とともに試薬のマグネシウムイオンに配位するためと考えられた。 3.安息香酸エステル類への共役付加反応の検討 キラルなインダノールを不斉助剤として2-メトキシ安息香酸エステルへの有機リチウム試薬の不斉共役付加反応が起こることを見出した。
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