研究概要 |
不飽和ホスホン化糖の脱保護と生理活性の検討 8年度に成功したホスホン化糖の合成法は収率の良いものの、立体選択性に問題があったので、直接トリアセチルグルカ-ルを用いる方法について検討した。その結果、1位に選択的に、且つ立体選択性良くホスホン化出来ることが判明した。得られた1-ホスホン化糖の脱保護の後、エンドセリン(ETA)アクセプター結合作用を調査したが、残念ながら好ましい結果は得られなかった。これは、2位に二重結合を保持しているのが原因であると考え、同様の手法で得られる1-ホスフィノイル糖のオゾン分解について、検討することとした。ジクロロメタン中、基質としてTri-O-acetyl-D-glucalを用い、クロロジフェニルホスフィンをルイス酸存在下で反応させた結果、不飽和糖の一位、及び三位にジフェニルホスフィノイル基が導入された不飽和糖誘導体がそれぞれ51%,21%,6%の収率で生成した。なお、得られた糖の立体化学はNOESYスペクトルにより決定した。そこで、基質であるGlucalの置換基の立体配置を保持した五員環化合物の合成を目的として、優先的に生成した1-ホスフィノイル糖のオゾン分解を-78℃で行った結果、二重結合の開裂の後、分子内アルドール型縮合反応によって生成したと思われるフラノシドを41%の収率で得た。溶媒としてジクロロメタンを用いた場合、フラノシドは一つの立体配置を優先的に与えた。本フラノシドを用い現在、C-ヌクレオシドの合成を精力的に行っている。
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